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 ここでは、外国為替に関する解説書や外国為替に携わっている人たちが著述した古今の
書籍を、筆者の書評を添えて紹介します。
 ただし、筆者の評価や書評は、あくまで一読者の個人的な意見であって、むやみにその
購入を勧誘するものでも、その内容を誹謗・中傷するものでもありませんので、
あらかじめご了承ください。           (評価について)

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NO.11

タイトル

プロ投資家のための外国為替取引

総合評価

★★★

著者

UBS銀行東京支店外国為替部

価格

★★

適量度

★★★

出版社

日経BP社

役立つ度

★★★★

読み物度

★★

価格

3,200円(税抜き)

オリジナリティ

★★★★★

読みやすさ

読んだ版

2004年1月発行初版

今どき度

★★★★

長寿度

★★★


総評

この本は、スイス大手の銀行、UBSの東京支店外国為替部が、証拠金取引などで急増してきている個人の外国為替取引を含め、外国為替の投資家に対して、外国為替市場の仕組みを理解してもらうことを目的に書かれたものである。

 個人の外国為替取引の増加と共に、このような外国為替取引に関する解説書が、巷の書店には多数見られるようになったが、いたずらに取引を煽るようなものがある中で、この本はその解説の詳細さと正確さにおいて、秀抜である。

 特に驚いたのが、まず冒頭で9つのポイントを挙げた「為替市場の特徴」のところである。長年、外国為替相場を見てきた立場から言っても、"為替市場の特徴"などは概念として理解しているつもりではいたが、この本ではそれを見事なまでに文章で的確に表現しているのだ。各ポイントは、正に言い得て妙で、それぞれ付いている解説もまたわかりやすいものとになっている。個人的には4番目の「市場はベテラン、市場参加者はいつも新参者」という項目を改めて肝に銘じておきたい。他の同様の書籍でも、優れたディーラーの著した本は、必ずこのような市場に対する謙虚さを諭したものが多い。

 次に、この本が他の書籍を圧倒していると思ったのが、主要通貨の特徴を記した第3章である。多くの外国為替市場の本は、米ドルについての解説がほとんどなのに対して、この本の解説はいきなりオーストラリア・ドルから始まるのだ。しかも、個々の通貨の解説は、その通貨の特徴のみならず、その通貨を司る金融当局(中央銀行)についても解説しており、さらに各通貨の取引を行う上で注目すべき経済指標についてまで解説されている。各通貨を実際に取引するために必要不可欠な事柄が、きちんとまとめられているというわけである。ここを読むだけで、各通貨についてひととおりのことが頭に入る感じがする。私自身も、長年外国為替相場を見てきたが、「大変勉強になった」と思った。(このサイトの相場分析もドル・円のみなので、ちょっとお恥ずかしい。)

 また、第4章では、1993年以降最近までの外国為替市場での出来事を、各年毎にチャートともに記載しており、各年の相場の動きについて、その原因と結果がよくわかるように書かれている。つまり、あの日あの時、どんなことが起こって、それで相場が動いたのかが手に取るようにわかるのだ。今でも、「あの時何があったのか」と思った時、ここで調べることにしている。ただ、1993年以前については、第1章で要点だけを述べる形で分かれて書かれているため、ちょっと違和感を覚える。外国為替市場の歴史を述べる上では、せめて1985年のプラザ合意以降の年だけでも、第3章と同様に詳述してもらいたかった。

 後半、第5章以降はオプション取引など、外国為替市場で行われている具体的な取引についての解説が記載されているのだが、一般の読者に対しては、ここから極端に難解になっていく。ヘッジファンドや介入についての解説は、新聞などの報道で目にすることが多いため、興味を引くだろうが、オプション取引などは複雑な計算式や専門用語がちりばめられており、個人投資家などはほとんど理解できないのではないだろうか。「プロの投資家向け」だから、これぐらいは当然と言いたいのかもしれないが、金融機関などの企業で実際に取引している者以外、どれほどの読者に読んでもらえるのだろうか? 前半であそこまで見事な解説を見せられただけに、ここからのあまりの難解さがまったく残念でならない。

 この本は、国際金融市場で活躍している大手外資系銀行東京支店のメンバーが、外国為替取引を行っていく上で、必要な知識を詳細に解説したもので、やや難解な点があるとはいえ、同種の書籍の中でも、群を抜いた書であると言えよう。